【2/3 考察編】ガラルで見つかる化石の正体について

足集利(アシュリ)おるるです。

本記事は下記記事の続きになります。
宜しければそちらもご覧下さい。

【1/3 概要編】ガラルで見つかる化石の正体について

   目次

復元されるポケモンたちの正体に迫る!

ポケモン剣盾が引き起こした 『ガラル化石組の正体何なの論争』から1年。我が国は、

「誤った復元方法で生み出された」派
「自然由来の姿である」派
「ダークライ」
の3つに分かれ、混沌を極めていた……。

じゃあこいつら一体何なの?

お待たせしました。以降、このポケモンたちの存在について、
否定的な主張を赤マーカー肯定的な主張を青マーカーで表記します。

今回は、どちらの派閥のあらゆる主張に対して、
あくまで中立な立場から反論をぶつけまくり、
生き残った反論の余地がない主張を考察し、
何とか真実に迫ろうという企画になります。

そこに謎があったら、解き明かしたいのが人間の性というもの。
化石から蘇った彼らが世の中に受け入れられたのはいいとして、
実際のところ彼らはどういった存在なのか。
人間の道楽で生み出された許されざる命なのか、
はたまた太古の昔からあのヘンテコな姿をしていたトンデモ生物なのか。
ハッキリさせる時が、あ、来たんじゃあ、ありませんか!?前者やろ

勿論、大前提として、公式から答えは提示されていません。
以下、デザイナーのありがひとし氏本人の、ファンの質問に対する回答です。

ちなみにあの組み合わせでしか復元ができない
(他の組み合わせでは復元できない)ので、
復元が正しいか間違ってるか、誰もキッパリ断定できず
本当はこうなんじゃないか、いや自分はこう考える…
という実際の化石考察のような思考遊びが
ガラル化石の現状でのポジションだと思います

ありがひとし氏の公式Twitterより

恐らく今後も公式から彼らの正体に関する明確な正解・回答は出ないでしょう。
でも、考えるのは自由ですし、何より世の中で意見が割れている。
それぞれの派閥の、それぞれの意見を見ていきましょう!
面白くなってきた!

「誤った復元方法で生み出された」派の主張

あんな生き物が天然物のわけがないだろって?
あくまで中立な立場から、抗っていきますよ!


1.そもそもあんな姿で生きていけるわけがない

まず、「リュウ」の体はいずれも断面が丸見え。
「サカナ」の頭はいずれも上下逆さま。(ウオノラゴンも、尻尾を伸ばすと…
パッチルドンの「トリ」の体は震えており、明らかに寒さに適していない。
おまけに「トリ」の食性に引っ張られて、不得意な陸上生活を強いられている。
ウオノラゴンなんて尻尾に顔が付いている。消化ができるわけがない。
それどころか陸生なのに水中でしか呼吸できない。そんな生物あり得ない。
何をどう考えても天然の生物ではない。以上!閉廷!俺の勝ち!

この主張がいちばん多い気がしますが、そうは言い切れないと思います。

まずはウオチルドンちゃんの目をご覧ください。

ほんっとかわいいなー。
元々瞳は逆さにしても(l l)か(- -)なので自然ですし、
怒った時の瞼は逆さから見ても怒って見える秀逸なデザインなのですが、
笑った時は本当に笑ってるんですよね。ありがひとし先生のイラストも。

もし、サカナの頭を無造作にくっつけただけであれば、
ウオノラゴンちゃんとウオチルドンちゃんは同じ顔をしている筈であり、
ウオチルドンちゃん視点では世界が逆さまに映っているはずです。
でも、実際はそうではなく、「口が上に付いているだけの生物」といった形。

まあ、漫画的な表現でこういう目になっているだけかもしれないですけど、
それ自体に確証もないですからね。

同じ「カセキのサカナ」でも、下半身によって頭の構成も違うとなると、
ここから分かるのが、化石復元のメカニズムです。

「それぞれの化石の肉体を復元してからくっつけている」わけではなく、
与えられた骨格を元にして初めて肉体を構成している」のが分かります。
これなら「サカナ」の瞼の向きの説明ができますよね。

こうなると、ウオノラゴンちゃんの体の説明もできます。
明かに頭が「リュウ」の尻尾にくっついている様に見えますが、
内部では内臓が形成されて、口と繋がっている可能性が高いです。
そもそも全員キャンプでカレーを正常な量を食べますしね。

ウオノラゴンちゃんは水中でしか呼吸できませんが、
アニメを見る限り、定期的に水辺に行けば大丈夫なレベルみたいです。
現実でもクジラは分類学上ウシと同じ仲間であり、肺呼吸なのですが、
2時間くらいは息を止めて海中に潜水ができます。
ウオノラゴンちゃんはその逆の生態と捉えることができます。

「リュウ」の切断面と、「サカナ」の頭頂部にも注目です。

この部分は残りの半身に応じて、色が変わっています。
ツギハギではなく、ちゃんと一つの体である証左に他なりません。
また、今便宜上「切断面」という言葉を使いましたが、
そう見えるだけで、別に血が出たり内臓がこぼれたりは勿論しません。

「トリ」の体は、どちらも下半身の性質を巧みに使って電気を作ります。
パッチルドンちゃんの上半身は氷漬けになって震えていますが、
常に体が震えているポケモンならユキワラシが、
常に鼻水を垂らしているポケモンならクマシュンが存在しており、
どちらもちゃんと現存し、自らの性質を技に生かしています。

加えて彼らは「本人は苦しくない」という、
デザイナー本人のお墨付きまで貰っていますよね。

以上の事から、
どれだけ見た目や生態が奇妙であるとしても、
生物として成立していないと言い切れない以上は、
誤った復元方法であるとも言い切れないことになります。


2.研究者が適当に復元している様に見える

復元する張本人の名前が「ウカッツ」。英語版で「Cara Liss」。

明かに「迂闊」と「careless」から取られている。

白衣が泥だらけ、靴が左右で違うなど、ズボラで適当な印象がある上、

復元を断ると「スカしちゃってサ」等と言われる。

彼女自身の倫理観の欠如が、あの異形を生み出している可能性が高い!

気持ちは分かりますが、推測の域を出ません。

ただし、製作側が明らかに誘導している感が否めないですよね。
名前が露骨なのが特にそう。
ミスリードということもありますので、踊らされている感じ。

ちなみに本人は「合体ポケモンの解明の鍵になるかもね」と発言しています。
一応真剣に研究をしようとする気持ちはあるのかな?

合体の話をすると、あの世界ではキュレムやネクロズマ、ヤドラン等が、
可逆的(くっついたり離れたりできる)な合体を行う事が示されています。
一方、ガラル化石組の様な不可逆的な合体(仮)を行うポケモンで言うと、
ヤドランと違い、ヤドキングのシェルダーが外れるとどうなるかは不明ですし、
パラセクトのムシの体はキノコが外れると動かなくなるそうです。
ダンバルやメタングは2匹が合体することで進化し、退化はできません。

余談ですが、アニメではもう少し柔らかい、オドオドしたキャラでした。


3.デザインの元ネタが「化石の復元ミス」である

元ネタと思われる生き物に、揃いも揃って復元ミスの経歴がある。
その辺りを意図してデザインされているのは明白。
復元ミスという言葉にポケモンで言う「化石の復元=蘇生」の解釈を足して、
ツギハギの体に無理矢理命を与えている、倫理観が欠如した最低の存在だ!

元ネタ通りの復元ミスだという断定はできません。
着想を得たのは前述の生き物でほとんど間違いないと思われますが、
だからと言ってあのポケモンたちが贋作だというのは早計です。

むしろ、化石の取り違いは現実でも起こりがちな事象。
そういった事情から着想を得た上でデザインに昇華している点を、
好意的に評価しているユーザーもいます。


4.ゲーム内の「カセキ」の説明が矛盾している

「カセキのトリ」の説明に「大昔空を飛んでいたポケモン」と書かれている。
しかし、パッチラゴンもパッチルドンも、空を飛ぶことはできない。

つまり、「トリ」は本来れっきとした鳥ポケモンの姿をしており、
パッチラゴンとパッチルドンは誤った復元による姿である!

「空を飛んでいた」という解説自体が間違っている可能性があります。

我々が生きているクッソつまんねえ現実世界の事を考えてみてほしいのですが、
こちらの世界では化石になった生物を蘇らせる技術がないため、
姿や生態は全て推測に過ぎず、その推測が外れることもあります。
例えば最近の研究ではティラノサウルスに羽毛が生えていますし、
スピノサウルスも水棲の恐竜だった可能性が出てきました。

それと同じで、「カセキのトリ」に関しても、
その容姿から飛行能力があると判断されているだけの可能性は否定できません。


5.全員タマゴ未発見グループである

歴代の他の化石ポケモンたちと違って、
ガラルの4匹は全員タマゴ未発見グループである。
これは生殖能力を持たない事を示している。
つまり、人間の手が加えられた、正しくない生命である!

タマゴ未発見だからと言って、生殖能力がないとは言い切れません。

まず、タマゴ未発見グループでも子供を産む可能性があります。
例えばアニメではルギアの親子が出てきました。人間がタマゴを確認できていないだけ。

また、ポケモンGOのレイドバトルはそういう演出なのでともかく、
ポケモンスナップではタマゴからフリーザー・サンダー・ファイヤーが孵ります。
この3匹は伝説のポケモンとは言えど、カントー以外にも様々な地方で目撃されており、
それらが全て同一個体であるとは考えにくく、有性生殖をしている可能性が高いです。
複数匹存在する伝説のポケモンは他にもラティ♂♀など、沢山いますね。

更に、ニドラン♀からはタマゴが発見されますが、進化するとタマゴ未発見になります。
逆に、ピチューはタマゴ未発見ですが、進化するとタマゴが発見されます。
成長の過程で生殖能力があったりなかったりすることも多いわけです。

そして、そもそもポケモンのタマゴは設定上「保育器のようなもの」に過ぎません。
これはゲームのNPCの発言から分かります。我々が知っている卵とは似て非なるもの。
歴代作品でも「どこから持って来たか分からんが、貴方のポケモンが持っていた」
というお馴染みの発言がある通り、産卵にあたるシーンは全く目撃されていません。

ということで、ガラル化石組も子供を産む可能性はあります。
ただし、こういう否定的な意見が出る様にわざと仕組まれているのは、
間違いなさそうですよね。全てはゲーフリの手のひらの上。

ちなみに、ガラル化石組はタマゴ未発見なだけでなく、
歴代の化石ポケモンの中では初めて「いわ」タイプが付いていません。
これも「古生物でない証拠」と言われることもありますが、証拠不十分かな。
厳密に言うとゲノセクトが先んじて化石産で「むし・はがね」なのですが、
まあ彼は明確に人の手で改造されていますからね。


6.内部データから救難信号が発されている

4匹の種族値合計が全て505。これは「SOS」の捩りである!
また、色違いの色が全員グレーに統一されており、遺影を表現しているか、

「本当はこんな生物いないんだよ」というメッセージとも解釈できる!

よく思いついたね。特にSOSのくだり初めて見た時は素直に感心してしまいました。

勿論推測の域は出ないですが、種族値が偶然じゃなく意図的なものだとしたら、
制作陣も面白い事を考えるなあといったところでしょうか。
だとしても色違いも含めミスリードである線が消せないですけどね。

というか、色違いの色が統一されているということは、
むしろあの4匹は元々同一のポケモンの別フォルムの可能性も出てきますよね。
これはこれで推測の域を出ないんですけどね。

ちなみに豆知識ですが、「SOS」は何かの略語とかではありません。
モールス信号で「・・・---・・・」と非常に分かりやすく、
また点対称な文字列であり、逆さから見ても意味が通るという事で、
世界共通で救難信号として使われているんですね。


7.2通りの過去が重なり合っている

例えば、仮にウオノラゴンが自然由来の姿だとして、
その化石の頭部が「カセキのサカナ」であるとしたら、
その「カセキのサカナ」がウオチルドンに復元されるのはおかしい。

しかし劇中では、2つの化石を組み合わせた復元が絶対に失敗しない。
つまり全ての化石に2通りの過去が重なり合っている事になる。
そんな事は物理的に絶対にあり得ない。つまり自然由来の姿ではなく、
人間がでっち上げた虚構の姿であるに過ぎない!

この主張を覆すことができないんですよね。

本当に仰る通りで、過去が2通りある存在なんて、普通に考えてあり得ないです。
僕は東京とニューヨークで生まれました」って言ってる様なものです。

シュレーディンガーの猫」として有名な二重スリットの思考実験において、
猫は観察されるまで生きている状態と死んでいる状態が重なり合っています。
でも、この化石に関してはそんなレベルの話ではないことが起きてる。
猫は実際には明確に生か死かのどちらかひとつの結果に収束しますが、
なんていうか、この化石は過去に向けて可能性が発散しているというか。

何故かこの世の全ての人が偶然正しい選択肢をとっているだけ
という主張は、理論上は可能ですけど、それこそあり得ない。

死んだ後で似ている別の生物の化石同士が合体する性質がある
とかいう無茶な新説で対抗しようとしても、
「トリ」の2匹、「サカナ」の2匹は明らかに生息地が違います。
別の何者かの手が加わらないと無理なんですよね。
まあ、何故か全部同じワイルドエリアで発掘されるんですけど、
地殻変動等でどうとでも説明できてしまいます。

というわけで、この主張を覆すことができない以上は、
これらの化石は人間が後付けで自由に組み替えているという、
誤った復元であることを認めざるを得ません。そんな…


「自然由来の姿である」派の主張

一方こちらの派閥にも勿論主張はあります。
尤も、向こうの最後の主張を覆すことができなかったので、
そのまま負けを認めるか、もっとわけわかんないことになるかですが、
果たしてどうなるでしょう?
記事が終わってない時点で結果が見えるんだよな

1.図鑑説明上では普通に古代に棲んでいた

4匹の図鑑説明に、古代の世界で暮らしていた記述がなされている。
考察の余地もなく普通に自然由来の姿、正しい復元でいいのでは?

今更言うまでもないかもしれませんが、これらの記述は
もしこれらの生き物が本当に古代に暮らしていたら」という、
想像で書かれている可能性が高いです。
というかアニメでは復元されたその場で初めて考証されていました。

自然由来の姿ではないけれど、それを公表すると叩かれる。
だから古代で本当に生きていたことにしよう!なんて事情があるのかも。

ちなみに、2種類のポケモンの図鑑説明が混ざっているという説もよく見られます。
でも、これはどうなんでしょう。

パッチラゴン「下半身にくらべ上半身が小さすぎる。」
パッチルドン「氷漬けの上半身が震えると電気がつくられる。」
ウオノラゴン「水中でしか呼吸できない。」
ウオチルドン「口が頭の上にあるので食べづらい。」

仮に「元となった生物」がいたとしても、
この辺りの図鑑説明はどう混ざっても出来上がらない様な気がします。
わざわざ魚の説明に「水中でしか呼吸できない」とか書く?バカにしてるでしょ


2.非常に元気に動いている

アニメやキャンプを見る限りでは、苦しそうな様子はなく、元気に動いている。
2種類の生き物を無理矢理掛け合わせた生物であれば、こうは行かない。
彼らが生きて暮らしている姿こそが、正しい生物である何よりの証拠である!

ちょっと怖いこと言いますけど、
寿命が非常に短くて、ある日突然死ぬ可能性もあります。
今元気に生きていても、明日も元気に生きてくれる保証はないのです。
こと造られた生命であれば。

現実世界には、トラとライオンの交雑種「ライガー」、
ヒョウとライオンの交雑種「レオポン」等の生物が存在します。
同じネコ科ですが、両親の生息地が大きく離れているため、
人間によって研究施設などに集められないと交配自体が起こりません。
そしてこれらの生物は、成体まで成長できる個体は多くないのです。
生命倫理の観点から、研究目的以外の作成はほとんどされません。

そんなわけなので、ガラル化石組が正しい生物で、
長生きしてくれることを祈るばかりですが…。


3.野生の個体が存在している

雪中渓谷に、野生のガラル化石組が出現する。
カンムリ雪原では本来絶滅している筈の化石ポケモンが多数生息しているが、
これは作中の演出的に古代の世界とウルトラホールが繋がった事を示しており、

つまり古代のこの世界でもガラル化石組が生息できていた可能性が高い!

これ知ってました?だいぶ自然由来説が正しいのを後押ししていますよね。
でも、これでも覆す余地が残っています。ポイントはプテラの存在です。
ここで、DLCのカンムリ雪原の世界観設定を軽くおさらいしておきます。

まず、「久しぶりに戻って来たらゴツゴツした知らないポケモンが増えてる
こういった旨の内容を話すNPCが雪原の駅に存在します。生態系が変わってる。
実際に雪原を探索してみると、カブトやプロトーガ、チゴラスなど、
本来絶滅している筈のポケモンが多く生息しているのが分かります。

また、フリーズ村のとある民家では「ふわふわちゃん」が飼われていまして、
何のポケモンかと思ったらコスモッグ。初見は大変ビビり散らかしました。
そして「ふわふわちゃんが来てから雪原に知らないポケモンが増えた」そうです。
コスモッグの進化系は、別世界への入り口を作り出す能力を持っています。

これらを総合すると、太古のポケモンが多く現生している世界が、
コスモッグらの力でカンムリ雪原と繋がった
ことが想像できます。
そしてガラル化石組も、雪中渓谷のダイマックス巣穴から現れるので、
古代の世界に野生で暮らしていたのでは?というお話です。

ですが。
カンムリ雪原には野生のプテラも生息しています。

プテラ
分 類:かせきポケモン
タイプ:いわ・ひこう
たかさ:1.8m おもさ:79.0kg

「ひみつのコハク」より復元。
古代の獰猛なポケモン。完璧な復元は今の科学でも不可能らしい。
のこぎりの様なキバは、はがねポケモンの皮膚さえズタズタに切り裂いてしまう。

上の図鑑説明はソード・シールドで新たに追加されたものですが、
雪原で飛び回っている姿は本来の姿ではないと言うのです。
初めてプテラが野生で出現するソフトでこの記述ってどういうこと?
まあ、制作陣が何も考えてない可能性もなくはないですが、
何故か雪原にはシンオウ化石組だけ生息していないので、
幾らかはラインナップを考えていると思います。(BDSPとの兼ね合い?

ついでに、以下は過去作品の「メガプテラ」の解説です。

メガプテラ
分 類:かせきポケモン
タイプ:いわ・ひこう
たかさ:2.1m おもさ:79.0kg

「プテラナイト」によりメガシンカ。
S:身体の一部が石になった。この姿が真のプテラであると主張する学者もいる。
UM:メガシンカにより失われていた遺伝子が蘇り、全身を覆う鋭い岩が復活。

PV:メガシンカの力で遺伝子が完全に復活。 体の岩はダイヤモンドより硬い。

つまり、古代の世界における野生のプテラがやってきているのであれば、
メガプテラか、あるいはそれとも違う別の姿でないとおかしいのです。
となると、そもそも古代の世界と繋がった説が怪しくなってきます。

じゃあ何故カンムリ雪原に古代のポケモンが生息しているのかと言えば、
以下の2つの説が考えられます。

1つは「古代ではなく、化石の復元が盛んな文明と繋がった」という説。
そちらでもプテラ含め一度絶滅し、復元されているということです。
こうなると、ガラル化石組が野生で現れる事に関しても、
元は別世界の人間が作り出した生物である可能性が否定できなくなります。
ウカッツはその文明の真似をしているだけ、とか。

もう1つは本当に古代の世界と繋がった説。しかし、
それに乗じて復元ポケモンを逃がしている人間がいる」というもの。
とあるトレーナーが、復元したプテラが手に負えないため、逃がしたい。
カンムリ雪原にはどういうわけか古代のポケモンが現生しているため、
この環境なら餌もあるし、野生に帰してもうまく生きていけるだろう。
と、いう理由でプテラが野生化してしまっている可能性があるわけです。
となればガラル化石組にも同じ事が言えますよね。
普通にこの世界で復元されたものが雪原に逃がされて、棲み付いた。
しかも野生下で生きていける体をしていないので、
僻地のダイマックス巣穴に潜ってただじっとしている…。

というわけで、雪原の野生個体は、
必ずしも自然由来の姿であるとは言い切れないのです。


4.残りの半身の化石が全く見つかっていない

「トリ」「サカナ」の下半身、「リュウ」「クビナガ」の上半身が、
これまで全く化石として見つかっていない。この事実は明らかに不自然である。
つまりもともとこれらは存在せず、あの4匹こそが正しい姿である証拠だ!

確かに、半身は大量に発掘できるのに、
残りの半身が全く見つかっていないのは、いくらなんでも不自然です。

しかし、化石として残らなかったり、気付いていないだけという可能性があります。

前述の通り、ウオノラゴンちゃんのモチーフであろう古代魚は、
胴体がほぼ軟骨でできているため、頭以外の化石がほぼ残らないのです。
こういった事情が同様に彼らにも起こっているのかも。

また、ホウエンの化石ポケモン・アノプス。このモチーフとなっているのは、
魚類が登場する以前の海で最強生物として君臨していた「アノマロカリス」です。
このアノマロカリス、最初は全く違う3種のバラバラの化石として復元されましたが、
後に3種合わせてひとつの大きな生物だったことが判明したのです。

つまり、化石と一緒にバカスカ掘れる「きちょうなホネ」。
実はこの中に彼らの残りの半身にあたる化石があるけど、
誰もそれに気づいていない
ということも、考えられなくはないです。


5.「キメラ」がこの4体だけしか存在していない

彼らが本当に「キメラ」だと言うのであれば、
その技術を使って他の化石のキメラを作ることが可能な筈である。
しかし、現状そういった特徴が見られるのは件の4匹だけであり、
他にそういったポケモンは存在しない。
よって、彼らは悪しき技術で生まれたポケモンではない!

いるけど表に出てないだけじゃない?
こちらの派閥を是とするのであれば、悪い人間を想定する必要があるのです。

そういえば人工ポケモンにはタイプ:ヌルがいますけど、
あのポケモンはポリゴンみたいにゼロから作り出されたのか、
それとも他のポケモンの体を一部拝借しているのか、どちらなんでしょうね。


6.あらゆる「サカナ」の顔の位置が同じである

ちゃんと体が繋がっている「トリ」の2匹はともかく、
「サカナ」の2匹は顔の付き方が異常である。

あの世界で彼らはありふれたポケモンであるのにも関わらず、

消化管が繋がる様に胴体に頭が付いたウオノラゴンも、
顔の向きが逆さまになっていないウオチルドンも存在しない。

何故なら、一見異常に見えるあの構造こそが正しい姿だからである!

ウカッツがマジでやべーやつなので、
あらゆる復元で面白がって変な頭の付け方をしている。

こんな馬鹿げた意見でも覆せてしまうのです。
あの4匹は倫理観の破綻した畜生が生み出した異形である!

ちなみに、ラテラルシティで化石をくれるNPCの発言や、
アニメ「薄明の翼」EXPANSION ~星の祭~を見る限り、
ガラル化石組の存在自体は一般に広く認知されている様です。
ただし現状でウカッツ(及びその関係者)以外の復元者が存在しない。
今後の作品ではどうなるでしょうね。


7.単体の化石から復元できない

あの世界では、ツメや羽の一部から全身を復元できる技術がある。
それなのに、上半身や下半身がほぼ完璧に残っているガラルの化石をもって、
単体で全身が復元されたポケモンが存在しないのは明らかにおかしい。

単体では復元にあたり何か重大な要素が欠けてしまう可能性が伺える。
つまり「トリ」だけ、「サカナ」だけの様なポケモンは、最初から存在しない。
上下揃って初めて自然由来の姿となって正しく復元されるのだ!

実はこの主張を覆すのも難しいのです。
どういうことか、詳しく解説します。

まず、こちらはガラル以外で見つかり、ポケモンに復元される化石の一覧です。

かいのカセキ  海にすんでいた古代ポケモンのカセキ。貝殻の一部らしい。
こうらのカセキ 海にすんでいた古代ポケモンのカセキ。甲羅の一部らしい。
ツメのカセキ  海にすんでいた古代ポケモンのカセキ。ツメの一部らしい。
ねっこのカセキ 海にすんでいた古代ポケモンのカセキ。ねっこの一部らしい。
ずがいのカセキ 地上で暮らした古代ポケモンのカセキ。頭の一部らしい。
たてのカセキ  地上で暮らした古代ポケモンのカセキ。襟飾りの一部らしい。
ふたのカセキ  海にすんでいた古代ポケモンのカセキ。背中の一部らしい。
はねのカセキ  鳥ポケモンの祖先といわれるポケモンのカセキ。翼の一部らしい。
アゴのカセキ  地上で暮らした古代ポケモンのカセキ。大きなアゴの一部らしい。
ヒレのかせき  地上で暮らした古代ポケモンのカセキ。首のヒレの一部らしい。

一部らしい。
ほんの端っこの化石だけで、生きて全身まるっと復元できてしまうのです。やばすぎる。
主張4.残りの半身の化石が全く見つかっていない』で、
残りの半身は残らなかったり見つからなかったりするんじゃない?」と言いましたが、
それでも全く問題なさそうでした。半身あって復元できない方がおかしいわこれ。
「きちょうなホネ」も、実は既存のポケモンに復元できたりするのかも。

ガラルの技術レベルが歴代に追いついていないという可能性もあります。ですが、
色々考察するとツメの一部から全身を復元する技術が軽く10年は昔のものみたいです。


 ガラル地方にウルトラビーストとタイプ:ヌルがいる
→図鑑を見ると「アローラから設計図が持ち出されたらしい」
→剣盾はSMのストーリーの前後数年の間のストーリーと思われる
→SMの図鑑によると、ポリゴンが「約20年前の古い技術」である
→FRLGの図鑑においてはポリゴンは「最高の科学で」生まれている
→ポリゴンがいつ生まれたのかは分からないけどすごく昔っぽい
→FRLGの劇中で「ホウエンのマユミと通信が繋がる」イベントがある
→そのイベントあとFRLGとRSの相互通信が可能になるので同時系列
→RSの劇中でデボンが「ツメのカセキ」の復元技術を完成させる
→よって「ツメのカセキ」の復元技術はすごく昔のものと言える

また、ウカッツも「ガラルで見つかる化石は~」と、
他の地方では化石は単体で復元されるのが当たり前であるかの様な口ぶりをします。
総じて、体の一部の化石から全身を復元するというのは、
今のガラルであってもごくごくありふれた技術であることが伺えます。
仮に「2つの化石を合成する」技術の方が現代の最新技術で、
その技術の特許をウカッツが独占しているとしても、
単体の化石復元技術なら別の科学者や別の地方の人間が持っている筈です。

つまり、「トリ」「サカナ」等から単体で復元されるポケモンは存在しない。
何故なら、存在するならとっくに他の学者が復元に成功しているわけで、
そのポケモンたちがポピュラーな存在として図鑑に掲載され、
「キメラ」の4匹並びにウカッツは激しく糾弾されることになる
からです。

単に体の構造のせいで単体での復元が難しいだけという主張もあるかもしれません。
しかし、あんなに綺麗に半身がくっきり残って出土しているのに、
ガラル産の化石だけ、しかも見つかる全種が単体で復元できないのは、
流石に体の構造や技術力の面だけでは説明できないと思います。

ということで、元々の「トリ」や「サカナ」等のポケモンは、
どうやら最初から存在しない可能性が高い。
あの4匹が自然由来の姿であり、正しい復元であると言えてしまいます。

ただ、今度は別の問題が浮上するんですよね。他地方の復元にならうと、
例えば「トリ」単体からパッチラゴンかパッチルドンが復元される筈なんです。
でもされないっぽい。劇中でそんな描写ないですし。
このこと自体が誤った復元説を正当化するわけではないですが、
謎が深まるばかり…


考察

さあ、だんだん大変なことになってきてしまいました。

どっちも正しいのか!?

化石に2通りの過去が重なり合っているのはおかしいので、
ガラル化石組は誤った復元方法である。

単体の化石から復元できないということは、元となる生物自体が存在しないので、
ガラル化石組は自然由来の姿である。

どちらの主張にも筋が通っているし、覆す材料がありません。
僕は一体どうしたらいいのでしょうか。
答えは決まっています。どちらの主張も殺さない説を考えるしかないんです。

誤った復元方法である」と「自然由来の姿である」は、両立しません。
ですので、少し言い方を変えます。

誤った復元方法なので、自然由来の姿ではない
自然由来の姿なので、正しい復元方法である

そもそもお互いに「向こうが間違ってる」って言いたいわけなので、
対偶の形をとるように文章を直してみました。
自然由来の姿ではない」と「正しい復元方法である」は、
頑張って考えれば両立する気がするのです。本当か?
よって今から寝ないで考えようと思います。

化石の命名法則の違い

ところで、気付いていらっしゃる方も多いかと思いますが、
ガラルで見つかる化石は他の地方のものと命名法則が違います。
ちょっとこのへんつついてみるか。

他の地方の化石は「〇〇のカセキ」。ガラルは「カセキの〇〇」。
今までの化石とは根本的に違うということを表している感じですね。
日本語では「カセキ」の位置が変わっても意味はほとんど変わりません。
じゃあ他の言語はどうなのかというと。

ほとんどの言語で、日本語と同じく順番だけ変わってるか、
そもそも命名法則に違いがないばかりなのですが、
英語だけ明確に違いました。

Fossilized ってどういう意味?

他の地方の化石は「〇〇 Fossil」。ガラルは「Fossilized 〇〇」。
Fossilは言うまでもなく「化石」という意味です。
Fossilizedですが、Fossilizeが「化石化する固定化する時代遅れにする
という意味でした。それの過去形もしくは過去分詞形なわけです。

なんとなくですが、我々日本人が前時代的な物を「化石」って呼ぶみたいに、
俗語的な表現で「Fossilized」を使うことがあるんじゃないかなと思います。
例えば「Fossilized Social Networking Service」と言ったら、mixiとか。
「固定化」っていうのは「形骸化」とか「マンネリ化」みたいな意味かな。

これにならって「カセキのトリ=Fossilized Bird」を再翻訳すると、
化石化された鳥」「形骸化した鳥」「時代遅れな鳥」など。
真ん中はちょっと意味が分からないのでなさそう。
最後も、あえてガラル化石組にそういうイメージを持たせることはないかな。
復元されるポケモンがめっちゃポケベル使ってるとかなら、
ダブルミーニングとも捉えられたのですが、そういうこともないので。
つまり語源通り「化石化された鳥」でいいと思う、のですが。

他の地方にならって「Bird Fossil」と、実際の「Fossilized Bird」、
どちらも「化石の鳥」なのは間違いないんですけど、後者になると、
何者かに意図的に化石化されたってニュアンスが強くなる気がしませんか?
この形にすると過去形じゃなくて過去分詞形とも捉えられるわけで、
それって「受動態」なので。

何より、命名法則を他の地方と変えたかったとしても、
他言語と同じく前後入れ替えただけの「Fossil Bird」でも意味は通るのに、
わざわざ「Fossilized」を使っている
のは、何か含みがある気がする…
「化石化された」とは一体…?

化石の復元という神をも恐れぬ行為

考察を進めていくにあたりどうしてもぶち当たる問題があります。
化石の復元ってそもそも何?

科学で死者が蘇る?

キメラ生物は倫理的にどうのこうのの話になる前に、
初代からやってる化石の復元って要するに死者の蘇生ですよね?
この技術を応用したらあらゆる生物を蘇らせることできないかな?
シオンで殺されたガラガラ、グレンに連れてったら生き返ったりしない?
魔法じゃなくて科学でやってるところが逆に怖いよ。

色々気になることがありすぎますよね。
例えば年齢はいくつの状態で復元されるんだろう。
遺伝子内のテロメア構造まで忠実に復元するんだとしたら、
老衰で死んだポケモンの化石を復元したら老衰で即死するんでしょうか。
あと、ポケモンって現実で言う犬くらいには頭いいと思うのですが、
太古の時代で生きていた頃の記憶は保持されるんでしょうか。
それともゲノム配列だけを読み取って、赤子の状態で復元するのかな。

化石から復元されるポケモンが一律進化前なので、
全く別個体の赤子の状態の物を復元するのかなと思ったんですけど、
ここで引っかかるのがアーケオスの図鑑説明ですよね。

羽毛が細かいので、熟練の職人でなければ復元に失敗するという古代のポケモン。

復元に失敗って何…?
化石のままで終わるのか、不完全な状態で蘇生してしまうのか…
それに、成功したらアーケオスとして復元されるってことですよね?
じゃあ進化前のアーケンの化石しか見つからないのは何で…?
流石にゲーム的な事情もあるからそこまで突っ込むのは野暮でしょうか…

細かい事は追究のしようがないので、
「化石から古生物を蘇生する技術が存在する」という事実がある。
これだけを元に考察を進めていくしかなさそうです。

考察を元に・・・

とまあ、この辺りを色々まとめて煮詰めていった結果、
なんとか一つの真実に辿り着くことができました。
ここまで与えられてきた情報と考察をもとに導き出された、
ガラル地方の化石と、そこから復元されるポケモンの正体とは。
次の記事をご覧下さい。

【3/3 解明編】ガラルで見つかる化石の正体について

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